Ζ覚書、第11話~第20話。


第11話 大気圏突入

 アストナージさんがカミーユの肩やら腰やらべたべたと……。仲良い人に触られるのは気にしない。(むしろ好き)知らない人に触られるのは大嫌いというカミーユの性格がでてるシーン。仲良くなったらただのスキンシップに見せかけて触り放題ですよ。でもあんまりやるとうざがられるよ。

 自分のせいで両親と離ればなれになったファといると自分がガンダム盗んだせいで両親がああなったことを嫌でも思い出すので少し辛いカミーユ。それをどう伝えれば(どう謝れば)いいのか分からないのでブライト艦長の家族の話をするファから逃げてしまう。

 カミーユの両親のことを知ったファが部屋に訪ねて来たシーンで、また白のタンクトップと黒ズボンに着替えているカミーユ。これから寝ようとしてました。(だから部屋が暗い)
 青春の1ページな会話。二人とも似たような境遇だけど決定的に違うところ(巻き込んだ側と巻き込まれた側)があるので、慰めあうことができない。

 地球に降下しながらの戦闘。フライングアーマーに乗っているカミーユが圧倒的有利。今までは攻撃してくる敵を迎え撃っていたのが、抵抗できない敵を一方的に撃てる状況に。
カミーユ「もっと離れていれば、撃たれなかったのに!」
カミーユ「こんな一方的な戦闘は卑怯だ」(12話)
 正当防衛とはとても言えない状況で敵を撃つことにより、敵を討つことに対する疑問が生まれ始める。



第12話 ジャブローの風

 ジャングルでの地上戦。降下中に敵の死をまじまじと見てしまった、戦闘中に冷静になる余裕があった、一方的に敵を討ってしまった等々の要因で「死」というものに敏感になってしまったカミーユ。
 今まではあまり考えていなかった、考える余裕もなかった「敵パイロットの死」というものを意識し始める。
「もっと離れていれば、撃たれなかったのに」「こんな一方的な戦闘は卑怯だ」「出てこなければやられなかったのに」「抵抗すると無駄死にするだけだって、何でわからないんだ」
 この辺、相手より自分の方が強いと分かっていて、弱者を倒す(殺す)ことに躊躇いがあってもそうしなければならないことへの葛藤が、自分の前にでてくる相手が悪いという形で言葉に出ている。

 撃墜されたモビルスーツを見つけるカミーユ。目の前で火を噴くコックピット。倒れた木に押しつぶされて動かなくなった子ザルを揺する親ザルを見て動揺するカミーユ。目の前で敵の砲撃に焼かれる親子。
 一度気になりだすと次から次へと「死」が見えてくる。

アポリー「カミーユはどうです?」
クワトロ「いいな、ウォンさんの修正が効いているようだ」
 カミーユは弱いところを見せたがらない子供なので、カミーユが混乱していることに気付かない大尉。
 ジャブローでレコアさんの気配を感じるカミーユと感じないクワトロ。
 この辺の感覚の違いで微妙にずれていく二人。

 故意か偶然か、ヘッドショットで敵を倒していくカミーユ。
 ジェリド以外のモビルスーツはほとんど頭を打ち抜いて無力化している。

 レコアさんと再会。
 抱きつかれても抱きしめ返せないぎこちない腕。

クワトロ「動けないのか、カミーユ? あと10分でここの核爆弾が爆発する。動けないのならば百式で運んでやる。走って来い」
 面倒見のいいお父さんのようなセリフ。
カミーユ「レコアさんを発見しました。それと、カイ・シデンさんという方を救出したんです」
クワトロ「よくやった。脱出する」
カミーユ「はい!」
 ここの大尉の嬉しそうなこと。



第13話 シャトル発進

 アムロとフラウ、カツレツキッカの再会。

 ブライトと同じ、灰色の軍服。基地から小型機で帰ってきたところか。

フラウ「結婚しなさい、そうすれば」
アムロ「軍がさせてくれると思うかい?」
フラウ「まだセイラさんのこと好きなんでしょう? ウジウジしてんだからぁ」
 ララァのことは言ってないので、勘違いされているが、それもまた懐かしい感じ。

 家の中の会話は盗聴されている恐れがあるとのメモを見せるアムロ。
フラウ「じゃあ、あのメイド夫婦も軍の人?」
アムロ「広告を見てやってきたって言うけれど、僕の監視役の軍人だね」
 執事っぽい人は6話と同じ人。メイドの方は初めて出る。

アムロ「ここの生活は地獄だよ」
アムロ「ニュータイプは危険分子として、僕はここに閉じ込められているんだ!」
アムロ「こういう生活を強制されたら、少しは骨抜きの人間になったって仕方無いだろ!」
 腐っているアムロさん。
 アムロも天性の職業軍人なので、ちゃんと仕事を与えとけば逆シャアみたいにイキイキ働いたと思うんだけどね。飼い殺しにされてるので腐っている。

 ハヤトにカイからの手紙を見せられ、シャアじゃないのかと問い詰められるクワトロ。のらりくらりと躱す。 立ち聞きしていたカミーユ、更に突っ込む。
 7話で「じゃあ、シャアには会ってるんだ」という言葉が無意識に出たことからも、カミーユがシャアの気配を感じていたことは分かる。だからクワトロがシャアかもしれないと聞いてもあまり驚きはなく、
「もしそうなら、それは卑怯ですよ! シャア・アズナブル、名乗った方がスッキリします!」
 この言葉が出る。
クワトロ「ガンダムをシャトルに移動させろ!」
カミーユ「しますよ。どっちなんです? 教えてください!」
ハヤト「お認めになっても良いのではありませんか?」
クワトロ「今の私は、クワトロ・バジーナ大尉だ。それ以上でもそれ以下でもない」
カミーユ「歯ぁ食いしばれっ! そんな大人、修正してやるっ!」
クワトロ「これが若さか……」
カミーユ「どんな事情があるか知らないけど、どんな事情があるか知らないけど!」
クワトロ「人には恥ずかしさを感じる心があるということも──」

 大尉は今の(シャア時代と比べて)ぬるま湯みたいな生活もカミーユとの関係もわりと気に入っていて、それを壊したくないと心のどこかで思っている。
 シャアはザビ家に復讐するために仮面を被り、周りの全てを利用し、這い上がった、下克上に生きた男だから、それを名乗れば今の、謀略も裏切りもない仲間たちとの関係が崩れてしまうと思っている。
 エゥーゴに参加し、パイロットとして戦うクワトロに人の上に立とうなどという野心はなく、周りにも他人を蹴散らしてのし上がろうとする者はおらず、ティターンズ打倒というただ一つの目的に向かって動いている。 そこに野心家のシャアの居場所はない。
 カミーユとの損得抜きの師弟関係も、他人を利用するしかできないシャアでは続けられない。それらのことが混ざってのあの言葉で、クワトロはこのとき、ちゃんとカミーユの方に向き直っている。
 クワトロは(今の自分として)カミーユに対して誠実でありたいと思い、カミーユははぐらかされたと感じた。だから殴った。
 その真っ直ぐな拳に若さを感じ、それと向き合えない過去の自分に恥ずかしさを覚え──
 ちょっと何言ってるかわかんない。

カミーユ「邪魔するから!」
 一応頭を狙ったっぽい感じ。
 自分より強い敵と戦うときにはそんなこと感じている余裕はないが、一撃で倒せる相手だとやっぱり少し抵抗があり、自分の邪魔をした相手が悪いという言葉が出る。

 アッシマー強い。
 ロベルトさんが……。

 エゥーゴのパイロットを満載したシャトルを追うアッシマー。単体の推力では追い付けないのでMk‐Ⅱを肩に乗せて飛ぶ(カミーユを運ぼうとする)大尉。カミーユならやってくれるという信頼の表れ。

 戦闘後、前回とは逆にアウドムラに乗った百式がMk‐Ⅱの手を掴む。
 ここで、大尉はさっき自分が殴ったこと気にしてないと感じたカミーユ。嬉しそう。そして当然のごとくさっき殴ったことは謝らない。(気にしてないと察したから)



第14話 アムロ再び

 なんか今思い出したように入るカミーユ下げ展開の不自然さ。地上に降りてからそんなおかしなことやってないのになんでハヤトにそんな言われ方されなきゃならないのか。

カミーユ「口先だけで、本当は戦争が好きな人なんじゃないのか?」
 時間はあるのに、大尉とちゃんと話せなくてイラついてたのかなぁと。

 各機は機内から迎撃というクワトロに普通についていこうとして、他パイロットに止められ、驚く。
 その後、「モビルアーマーだ。モビルスーツを出すか」と言うハヤトに「もう遅いですよ」と悪態をつく。
カミーユ「あの変形したモビルスーツに引っ張られたのです」
 それでギスギスしてたのかなぁと。
 それについてはクワトロが保証し、拳を引っ込めるハヤト。
 大尉がカミーユの肩に手を置いたり、椅子に座った(座らせた?)カミーユと並んで(自分は立って)話してたりと、わりと距離感は近いんだけどね。

 ここのカミーユのイライラは、仲間が死んだことすら悲しまない人に、自分の気持ちなんて分からないんじゃないかってイライラで、つまりカミーユは「敵を殺すことに対するためらい」を大尉に相談したくてもできなかったからイラついてたんじゃないのかなぁと。
 カミーユは「誰から見てもかわいそうだと分かる傷(目の前で両親を殺された等)」なら僕今傷付いてます! なぐさめて! って主張できるけど、そうじゃないものや誰にも理解を求めてないものについては隠そうとする子なので、ライラさんを殺してしまったときにもそれで自分が傷ついたことを隠そうとしたし(あの時は周りがちゃんと気づいて気遣ってくれたから隠すのをやめた)、フォウのことも誰にも言うつもりはなかった。
 この悩みについても、相談して笑われたり甘いと切り捨てられるのが怖くて、ちゃんと聞いてくれそうな相手を探していたけど、「本当は戦争が好き」かもしれないクワトロには言えないから、「大尉はロベルト中尉が戦死したこと、何ともないんですか?」と聞いてしまった。そこで少しでも悲しんでいる素振りが見られれば打ち明けられたかもしれないけど「戦場での感傷はやめろ」と突き放されたので打ち明けられなかった。
ロベルト中尉が死んだことに対する悲しみも、前回も「感傷に浸ってる暇は無い」って言って切り捨てられて、大尉と共有できてないし、ね。

 ロザミアはここではまだ優秀なパイロットとして描かれていて、頼れる隊長然としているが、強化人間であることはすでに触れられている。



第15話 カツの出撃

 強化人間ロザミアの不安定さの露出。

 アムロとハヤトの気安い会話。

 初めて自分より年下の子が来たから、ちょっと嬉しいカミーユ。
 カミーユが持ってるコードの反対側をカツが持って、そのまま移動するとこかわいい。
カミーユ「ずいぶん若いお父さんだね」
カツ「義理の父ですから」
カミーユ「義理でも、いないよりいる方がいい」
 うん。

 シャアがララァのことを話せるのはアムロだけ。(でも寝言では言う)

 アムロと話したかった、色々教えてほしかったカミーユ。でも自分の言葉よりカツのこと気にされて拗ねる。

 寝るときは黒のノースリーブにブリーフ一丁のカミーユ。服とか支給されてないので、ね。着たきりすずめ。
 寝るときはTシャツに淡い緑のトランクス一丁のアムロ。シャワーシーンのサービスつき。

 アムロ、ハヤト、カミーユ、ベルトーチカの4人でソファに座って会話。7話では食べなかったりんごを、一人だけ食ってる。アムロやハヤトはもちろん、ベルトーチカに対しても、悪感情を抱いていない証拠。

アムロ「なんでアウドムラにヘレン・ヘレンがあるんだ?」
ハヤト「知らない」
 お歳暮にもらったやつをそのまま横流ししたと推測。

ベルトーチカ「何だか恐い人ね、ギラッとして。戦争以外の世界では生きてゆけない人じゃない?」
カミーユ「あなただってカラバの一員なんだ。戦いを全く否定する訳じゃないんでしょ?」
ベルトーチカ「でもね、あの人には平和なインテリジェンスを感じないわ」
アムロ「クワトロ大尉はそんな人じゃない。本質的には優しい人だ」
 二人そろってクワトロをかばう。カミーユなんて前回似たようなこと言ってたのに共感しない。自分が言うのはいいけど人に言われるのは嫌というアレ。

クワトロ「カミーユ君、リック・ディアスで出られるか?」
カミーユ「了解」
 久しぶりの君付け。アムロと会ってシャアに戻ってたとか、カミーユのMk‐Ⅱなのにカツを乗せてしまった(中で暴れられても面倒なのでそのまま行かせた)とかの負い目、カミーユに(へそ曲げないで)カツのフォローをしてほしいという期待からちょっと下手に出ちゃった。

 感受性の豊かなベルトーチカさん。戦うと言いつつ戦闘を怖がるアムロに「私が守ってあげなくちゃ!」と思う。

カミーユ「いい加減にしろ! 自分のやったことが、他人の迷惑になっていることに気が付かないのか!」
 溢れ出るお前が言うな感。

カミーユ「ハヤト艦長の言う通りだと思うよ、カツ君。でも、カツ君の言うことは本当です」
 今まで庇われる側だったのが、庇う側になりました。



第16話 白い闇を抜けて

 ベルトーチカとちゅっちゅしてたのクワトロに見られて思わず口元隠すアムロ。クワトロは最初からアムロも宇宙に連れて行くつもりなのでモビルスーツを一機置いていってほしいというアムロの言葉を取り合わない。
ここの「Mk‐Ⅱはカミーユが慣れている」って言い方好き。
 サングラス外して本気でアムロを口説きにかかるシャア。
クワトロ「エゥーゴとティターンズの決着は、宇宙でつけることになる。君も……君も宇宙に来ればいい」
アムロ「行きたくはない。あの無重力帯の感覚は怖い」
クワトロ「ララァに会うのが怖いのだろう? 死んだ者に会える訳がないと思いながら、どこかで信じている。だから怖くなる」
アムロ「いや……」
クワトロ「生きている間に、生きている人間のすることがある。それを行うことが、死んだ者への手向けだ」
アムロ「喋るな!」
 前回「ララァの魂は地球圏に漂っている。火星の向こうにはいないと思った」から地球圏に帰ってきたと言っていたクワトロはララァに会えたんだろうか。カミーユは普通に見えてそうだけど。

クワトロ「父親代わりの経験もいいと思っている。胸がときめく」
 何言ってるのかちょっと分からないけど、カミーユのことは子供だと思っていなかったということで。

 ヒッコリーについたクワトロとカミーユ。百式が固定されるのを待ってからアムロとカツを探しに行くカミーユ。自分とカツは間に合わなくてもクワトロだけは確実に宇宙に帰そうと思っている。

 カミーユの目の前で、敵モビルスーツのランドセルだけ切るアムロ。真似しようとして、コックピットまで貫いてしまうカミーユ。
 カミーユは地球に降りてからずっと、敵を殺すことにためらいがあった。でもそれを誰にも言わずに一人で抱え込んでいた。
 戦場で敵を殺すことは当たり前のことで、そうしなければ自分が、味方がやられてしまうから、仕方のないことなのだと、頭では分かっていた。理解していた。でもどうしても割り切れなくて、「自分の前に出てきた相手が悪い」と、そういう言葉が敵を討つ度に口をついてでていた。
 そんなカミーユの目の前で、アムロは敵を「生かす」戦い方をした。
 アムロだってカミーユに直接聞かれれば、それは仕方のないことだと答えただろう。でもカミーユは聞かなかった。そしてアムロの戦い方を見た。
 アムロ自身はガンダムの第一話でコロニーに被害が及ばないように「コックピットだけ」狙おうとした、天性の軍人だ。モビルスーツを無力化するのに、中の人間を殺すのが一番早いと理解していて、初戦でそれを実行しようとした人間だ。
 敵を殺すことにためらいはない。だからこのアムロの行動は、ただの気紛れか余裕の表れか、戦いに膿んでいただけの、特に意味のない行動だろう。
 だけどカミーユはそこに答えを見つけた。
 たとえ敵でも、殺すのはいけないことだと、誰に聞いたわけでもなく、ただ一度、アムロの戦いを見ただけで、そうなのだと確信した。
 それはカミーユが、一年戦争の英雄で、いつも比較されていた、周囲の期待に応える方法を教えてほしいと乞うたこともある相手の戦いを通して、「自分で見つけた」答えだった。
 これ以降、カミーユは敵を殺すのは悪いことだと思いながら、敵を殺し続けることになる。
 その罪の意識が少しずつ、カミーユを追い詰めていく。

アムロ「カミーユ、すまなかった」
カミーユ「いえ、ありがとうございます。アムロ・レイ大尉」
 ここで初めて、アムロのことを大尉と呼ぶカミーユ。

 悲しい。

 ブラン少佐にやられそうになったときに、ファの姿を思い浮かべるカミーユ。戦闘終了後にもファを懐かしむ。たった一つ、グリーンノアから繋がるもの。
 心の拠り所。



第17話 ホンコン・シティ

 夜のアウドムラ艦内で、アムロ、ハヤト、カミーユ、ベルトーチカの4人で会話。15話とは違い、カミーユは他の者に背を向け、アムロは窓の外を見ている。りんごは食べない。会話の最後には(今後の話をしているので)ちゃんと座り直している。(それはもう、作画ミスなんじゃないかというくらい唐突に座り直している)
 今までずっと一緒だったクワトロ大尉がいないので心細い。やはり敵を殺すのは悪いことだと確信したので気が重くなっている。それらを周囲に気取られたくなくて、背を向けている。

 アムロにMk‐Ⅱを譲れというベルトーチカに、「それはあなたの同情ですね。そんな哀れみは、いつかアムロさんを殺すんじゃないんですか?」と言うカミーユ。この辺の声のトーンの沈み方が、カミーユの心情を表していて辛い。

ベルトーチカ「あなたのことを問題にしてるんじゃないの。あなた、アムロが嫌い?!」
カミーユ「まだ、好きにはなれませんね」
 その内好きになれるかもしれない。つまりは嫌いじゃないという大変回りくどい言い回し。

 ホンコン・シティへと向かうアウドムラのブリッジの一番端の席で居眠りするカミーユ。
 ここのカミーユがすごく好きです。ここのカミーユがものすごく好きです。
 お前それ、誰かに座っててくれと頼まれたんじゃないのかと。仕事中じゃないのかと。周りも起こさないし、なんかこう、すごく好き。

カミーユ「美しい街だ。コロニーとは全然違うな」
 一人、窓の外を見ながら。アムロにはベルトーチカがべったりだし、クワトロ大尉いないしで、必然的に一人になる。

 ベルトーチカと二人でルオ商会に向かうアムロ。
アムロ「カミーユも連れてきてやれば良かったかな?」
ベルトーチカ「遊びではないんでしょ?」
アムロ「そうだったな」
 ベルトーチカとカミーユのやりとりを知らないアムロ。こうやってベルトーチカがアムロとカミーユを故意に遠ざけている。

 ミライさんとの再会。ミライさんは本当にいいお母さん然としているのに、ΖΖでブライトさんがあれだったり、逆シャアでハサウェイがあれだったりで、なんかこう、微妙な気分に。
 ベルトーチカも戦災孤児なので、なんか色々思うところがあるもよう。

 サイコガンダム登場。なるべく街に被害がでないように、街の外に誘導して戦おうとするカミーユに、「それでは駄目だ」といらだつアムロ。アムロさんは職業軍人だからね。その辺の割り切りは得意だろうけど、当のアムロの戦い方を見て、やっぱり戦争だからといって人を殺していい訳ではないのだと悟ったカミーユに、その割り切りは出来ない。

アムロ「あんな戦い、見てられないからな」「僕の二の舞だけは踏むんじゃない。重力というやつは、本当に人間の心を地の底に引き込む力があるようだ」
カミーユ「そうでしょうか?」
 この時もこの後も、カミーユに伝えようとするアムロ。でもカミーユには届かない。カミーユはもう、アムロの戦いを通して、「自分で答えを見つけて」しまったから。ただ与えられた言葉より、自分で見つけた答えの方が重い。

 フォウとカミーユの戦い。
 フォウにとってはこれが初めての実戦だった。だから最初は気が付かなかった。ネモを倒して違いに気付いた。Mk‐Ⅱには、「生気」があると。この敵は、普通の敵ではないと。
 カミーユは敵も自分と同じ人間なのだと認識した。一撃で倒せる相手ではなかった。だから話しかけた。何度も、何度も、こんなところで戦うなと。剥きだしの感情を相手にぶつけた。

 カミーユとフォウ。魂の共鳴。
 フォウはそれを気持ち悪いと拒絶し、カミーユは何故敵が逃げたのか分からなかった。記憶を奪われ、軍の道具として歪められたフォウにとってそれは、初めて感じた「自分以外の誰か」だった。その感覚を、拒絶した。



第18話 とらわれたミライ

 周りがみんな夏服に着替える中で、一人長袖のカミーユ。
 無意識に肌の露出を嫌ったか、「これしか君に合うサイズがなかった」と言ってド派手なアロハシャツを支給されそうになって、「もうこれでいいです」とその辺にあった季節外れのださい長袖を選んだかのどちらか。

 ハヤトの命令でアムロを探しに出た先で、グライダーで遊ぶフォウを見かけて「好きなんだな」と笑みを浮かべる。前話でほとんど笑ってなかったので、久しぶりの笑顔。戦争とは無関係の場所にいるものへの、郷愁みたいなものも混じっている。現実逃避。

 アムロの前でも隠さなくなった、ベルトーチカとカミーユの険悪さ。しかしアムロは仕方ないなぁくらいにしか思っていない。

 初めはアムロがMk‐Ⅱのパイロットかと思い、その関係者のカミーユに近づいたフォウ。相手に取り入るための会話で、段々とカミーユを知っていく。
 エゥーゴとはまったく関係のない、一般人(だとこの時は思っていた)相手との会話が、新鮮で楽しいカミーユ。本来は人見知りが激しいが、フォウがカミーユとちゃんと話そうとしてくれているので素の顔が覗く。なんとなく、惹かれあうものも感じる。

 車のフロントライトを使ってアウドムラに合図を送り合流し、人質が一人増えたことについて尋ねるカミーユ。
ハヤト「アムロがミライと交代するために行ったのだが、開放してはもらえなかった」
カミーユ「アムロさんは甘いんだ」
 カミーユにとってアムロは敵を「生かす」戦い方をする人だから、ね。
 それを甘いと思うからカミーユは、仕方がないと割り切った。この後の戦闘でカミーユは、敵を倒しても「自分の前に出てきた相手が悪い」という言葉を吐かなかった。ただ冷静に、倒した敵の数を数えた。
 敵を殺すのは悪いことだと認めて、それを全部身の裡に抱え込んで、背負い込んで戦うと決めた。
 だからコックピットを狙って、確実に敵を無力化した。
ハヤト「ミライもアムロも大切な人だ」
カミーユ「わかってますよ。うまくやればいいんでしょ?」
 人質を助けるために、最善のことをした。

ハヤト「アウドムラを引き渡しします」
カミーユ「そんなバカな! ここで降服したら、今日までのことが無駄になるでしょう?」
 これまで戦ってきたこと。絶対に無駄にしてはいけないもの。もう引き返せないのだという覚悟の表れ。

 ステファニーさんいい女。
カミーユ(なんだろう、この優しさ。フォウとは違う女性の香りがある。強さを感じる)「みんな助けるんです」
 ここで笑顔を浮かべられる辺りが、カミーユがまだ完全に心を閉ざしていないってことで、カミーユはいつも周りに心を開いているから、他人の痛みを自分のことのように感じてザクザク傷ついていく原因でもあるんだけど、でもそれがカミーユの優しさでとかあぁもううまく言えないけど、カミーユが戦い続ける理由みたいな。
 戦いの中でも人の優しさを感じる心を持っているから、余計に傷つくみたいな。

カミーユ「ご苦労様です、アムロ大尉」
アムロ「ありがとう、君こそ……」
 アムロが右手を出す、カミーユがそれに応えて右手を出す、ベルトーチカがアムロの右腕を引っ張る、アムロは左手で握手する。細かい。

 チェーミンと話してる時のカミーユがほんとにいいお兄ちゃんでアムロと握手したときも晴れがましい笑顔で、ほんと見てて辛い。
 カミーユは自分の心を置き去りにして戦うと決めたから、カミーユというパイロットを演じてるみたいな。周りに自分の痛みを理解してもらうのを諦めた感じ。いや、元から言ってなかったけど、17話冒頭みたいに、背を向けることすらやめて、意識して平気な振りをしだした感じ。



第19話 シンデレラ・フォウ

 カミーユは普段はアムロさんだけど、前回の戦闘後、今回の戦闘中などはアムロ大尉と呼ぶ。その意識の切り替えがどこでされているのか。戦闘中と普段のカミーユの精神が乖離し始めていることの表れか。

 アウドムラの通路で、整備機材を乗せたトレーに手をついてうつむくカミーユ。すごく辛そう。
 数秒様子を見てから話しかけるアムロ。
 恋じゃなくてもっと硬質な感じで。
カミーユ「わかりますか? こういう気分。つまり……経験あるんでしょ?」
アムロ「ニュータイプだと言いたいのだろうが、違うな。洞察力の優れた人間なら、初対面の人でもわかり合えるさ」
カミーユ「引っ張られるような感覚もですか?」
アムロ「引っ張られるような?」
 謎かけのような会話。誰かに話すことで改めて自分の内面を見るというか、理解するというか。

アムロ「カミーユ、危険だ。その女には近付かない方がいい」
カミーユ「どうしてですか?」
アムロ「理由はない」

カミーユ「どういう敵だったのです?」
ミライ「ごめんなさい、そこまでは知らないわ。でも、ララァという人は、死んでしまったのにアムロを決定的に、現実世界から引き離してしまった人」
カミーユ「愛していたのですか?」
ミライ「敵同士でろくに会ってもいなかったのよ。なのに人生を変えるほど愛し合うことができて?」
カミーユ「不可能だと思います」
ミライ「そういう関係だったのよ」
カミーユ(フォウが、俺にとってその人と同じかもしれないって?)
 カミーユのこの辺の心ここにあらず感がなんというか。アムロに話しかけられる前に考えていたのはフォウのことではなかったのだけど、会話の流れに誘導されて、会いたいと思って、自分にとって不確かなものを確かめるためにフォウに会いに行ったのかなと。
そこで実際に会えるのがニュータイプ。

 一人で街をうろつくフォウ。人ごみの中、感じた寂しさが、カミーユとの再会で癒されてカミーユに心を開く。孤独な魂同士が惹かれあって、抱きしめあう。

 街を焼くティターンズに対して怒りを抱くカミーユ。あの時戦ったガンダムのパイロットがカミーユなのだと気付くフォウ。アウドムラへ行こうというカミーユの言葉を振り切り、逃げる。

 ステファニーへのカミーユの反感は、自分を信じてくれなかったことへのいらだち。そんなこといちいち言わなくても、ちゃんと戦うのにという。

 サイコガンダムとの戦い。カミーユは最後までフォウを救おうとしたけど、できなかった。サイコガンダムが逃げ去った後もまだ、Mk‐Ⅱを狙う敵を切り伏せて。
カミーユ「何で、邪魔をするんだ」
 そこにあるのはただ邪魔されたという事実に対する苛立ちと憤りだけ。

 ミライの見送りもせずに部屋にこもるカミーユ。しばらくなかった、爪を噛む癖が復活。ミライの乗ったヘリに気付いて窓からずっと見つめる。



第20話 灼熱の脱出

 カミーユの部屋の様子でカミーユの心情を表すことが多い。
 窓にわざわざカーテンをつけた。アムロが来ても寝てる振りをした等、今回もワンシーンでカミーユの拒絶を表している。傷付いている自分を見られたくない、傷に触れられたくないという完全な拒絶。慰められることすら拒否している。ここでちらっと見えてる肌色が肩っぽくて、次にカミーユの部屋が映ったシーンでは水色の服着てるから、アムロが帰った後一度起きて着替えて二度寝したっぽいんだけど。すごいおおあくび。

アムロ「宇宙空間はカミーユの可能性を無限に伸ばしてくれる。その結果として、僕に良い影響をもたらすとしたら、それをしなければ」
ベルトーチカ「利用するわけね? カミーユを」
 このセリフからの、
「あなたアムロのこと好きよね?」「アムロをあなたの側に置いておきたくないのよ。あなたの側にいると、アムロは無理をするわ。そうすれば……アムロは早死にをする」
 このセリフ。
 アムロの言うことまったく信じず、このままではカミーユにアムロを取られると思っている。
 ここのカミーユの激高が今のカミーユの不安定さを表してるわけだけど、
カミーユ「……僕に力が無いって言うのか!?」
ベルトーチカ「違うわ!」
カミーユ「違わないよ! 今言ったじゃないか!」
ベルトーチカ「カミーユとだとアムロが頑張り過ぎるってこと言ってるのよ!」
カミーユ「なら! ますます僕の問題じゃありません! アムロさんに気を付けてもらうように言うしかないでしょ」
ベルトーチカ「あの人が聞く人!?」
カミーユ「真面目ですからね、あの人」
 自分が弱いと言われたんじゃないと分かると急に冷めて、世間話みたいな口調に。
 ベルトーチカとカミーユの仲が悪いのは前からだったけど、カミーユが敬語を忘れて突っかかったのはここだけ。カミーユはもう、戦うことを決めているので、そこを否定されて(あなたが弱いからアムロに余計な負担が掛かると言われたと思って)激高した。勘違いだと分かって冷静になった。
 前回のステファニーへの態度も今回のこれも「戦士として認められなかった(遊んでると思われた、弱いと言われた)」ことへの反発で今までの怒りとは質が違う。

 今回は戦闘中もアムロをさん付けしていたカミーユ。カミーユにとって今回の戦いは「フォウを助けるためのもの」であって、「敵を倒すためのもの」ではなかったから、戦闘モードに入ってなかった、のかな。

 カミフォウは色々思うところあるけど、書いてるとキリがないので割愛。カミーユがここまで本心を曝け出せるのもフォウだけだと思うけど、その理由を考えるとなんかこう。
フォウ「カミーユ、もう一度だけ聞いて良い? 今でもカミーユって名前、嫌い?」
カミーユ「好きさ、自分の名前だもの」
 名前も記憶も、何も持っていないフォウに触れて、自分は色々なものを持っていたのだと気付いた、それを吐き出したカミーユへの、カミーユから優しさと思い出をもらったフォウの、別れの言葉。

カミーユ「ありがとうございます、ブライト艦長」辺りを見回して「ファは?」
 地球でのことを何も知らない仲間たちに、弱音を吐きだせなかったので、ファの名前を出すことで自分は普段通りだとアピールしようとした。幼馴染の顔が見えないから心配しているのだと。久しぶりに会えたのに、みんな笑顔で迎えてくれているのに、笑顔を返せないことへの言い訳。

次回予告
『アーガマに帰還したカミーユは寂しかった』
ものっそい直球でなんか言い出した。



20話まで観た雑感。

 最初からカミーユに感情移入させる(カミーユの心情を理解させる)気がなかった1話、2話と違い、3話目以降はものすごく丁寧にカミーユの心情を描いている。描いているのだけど、その描き方が、「助けてを言えない状況に追い込まれている子供がその言葉以外で発するSOS」をそのまま描いているので、そのSOSのサインを読みとれない人にはとても分かりにくい。逆にそれが分かる人には本当に、分かりやすすぎて嫌になるほどカミーユが追い詰められていく様子が分かる。
 フォウは「私に優しくしてよ!」と叫んだけれど、それをカミーユに言わせると「僕はまだ子供なんだ!」になる。一見感情のままに、言いたいことを言っているように見えるカミーユだけど、本当に言いたいこと、言わなければ伝わらないことは言えていない。その代わりに出てくる乱暴な言葉や態度を額面通りに受け取っても、カミーユの言いたいことは分からない。「何が彼にそれを言わせたのか?」「その言葉で何を伝えたかったのか?」を考えないと、カミーユの言いたいことは理解できない。それを理解するためのヒントは作中のいたるところに、例えば部屋の様子だったり、表情や仕草、声のトーンだったり、カミーユのいる場所だったり、周りとの距離の取り方だったり、敵の倒し方だったり、敵を倒した時のセリフだったりと様々な形で散りばめられているが、それを作中で分かりやすく言葉にして説明してくれたりはしない。だからそれを見逃すと、カミーユの心情は分からない。
 私も色々、見逃してるとこあるんだろうなぁと思いました。



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